Noels Tagebuch

日々のつぶやきと読書記録、たまに旅行記

科学

晴れ。終日仕事。

 

ノーベル賞を医学生理学で受賞したと感動していたら、物理学でも受賞というニュースが出ていてびっくりした。

 

旧帝國大学絡みではない出身の人が受賞するというのは非常に珍しいのではないか。山梨大学から東京理科大大学院という経歴は、より幅広い研究者に夢を与えてくれる。

 

特に微生物絡みで受賞するというのは遠い昔の北里柴三郎博士の雪辱を果たしたとも言えて、非常に意義深い。

 

所属が北里大学であることも意義深いが、大学は北里研究所の開設50周年記念で創立したものなので直接的な関わりはない。北里博士自身は、どちらの創立にも関わっているという点でどちらかというと東大の医科研や慶応義塾大学医学部に関わりの深い人物である。

 

さて。

 

ジョン・コーンウェル著「ヒトラーの科学者たち」を読了した。

 

内容は第一次世界大戦期から第二次世界大戦終戦までのドイツをメインした科学史である。特にナチス・ドイツの元に残った科学者たちの仕事についての話が多い。

 

ドイツでの原子力研究や様々な新兵器開発、さらにはニュルンベルグ綱領ができるきっかけになった様々な常軌を逸した狂気の実験の実態などを解説してくれる。

 

終戦後の科学者たちの言動も詳しく解説されている。一部の学者たちがアメリカに引き抜かれて、弾道ミサイル開発や宇宙開発に関わったり、ドイツに復帰して栄転したり・・・戦時下でやってきたことを考えると割り切れないような扱いを受けていることに違和感を覚える。

 

20世紀のドイツの技術力や科学力の凄さも強く感じる。

 

二つの大戦があった故に、ジェット機もロケットもコンピューターもインターネットから核兵器サリンまでこの世に出てきたのだと思うと非常に複雑な気分になる。

 

科学は扱う人間次第で、福音にも狂気にもなりうるのだということを改めて認識させられた本であった。