「家族ゲーム」
映画「家族ゲーム」を見た。
松田優作さんが主演の30年以上前の映画。
東京の海沿いの高層マンションに住む受験生を中心とした人間関係を描く。
内容と言うよりも動作や変な癖の面白さとか、描写の非日常感とか、当時の雰囲気とかを楽しむ映画のように思う。
舞台に設定されている街は無機質で何とも殺風景。
水商売の人も住んでそれなりに学校などもある場所といえば、勝どきや辰巳の団地あたりを想定しているのだろうか。
子供の喧嘩の舞台になる原っぱ、途中で出てくる倉庫街など、いかにもかつての東京の湾岸地区っぽいイメージそのもの。
大好きな「探偵物語」に出てくる渋谷や原宿界隈の雰囲気とはまるで違う何とも言えない場末感がすごい。
そんな場末の街もここ10年ちょっとの再開発で今や憧れの湾岸エリアに様変わりしているのだから驚きだ。
江東区の湾岸のイメージさえ聞けば、その人がいつから東京にいるのかわかるぐらい。
登場人物が言っていることとやっていることは相当に面白いはずなのに、底知れない不気味さを終始感じ続けるような何とも不思議な映像が続く。
松田優作さんの作品としては珍しく主人公も含めて誰も死なない(終盤にいろんなものがぶち壊しになる流れはやっぱりあるけど)。
松田さん=「工藤ちゃん」のイメージを少し払拭するのにはいいかもしれない。